『「健康には限度がない」』
4章「健康包囲網ー高血圧の定義に見る統計」が秀逸。医学書ではないので4章は病気に関する定義を確定することが目的ではありませんで、話は「予防医学のストラテジー 健康には限度がない」(p.118)というあたりに突っ込んでいきます。4章の結論は《社会の「住民population」である医療サービスの受け手は、統計によって定められた病気と健康の定義にしたがって、自分の生活慣習を改善し、健康を管理することを強いられる。二一世紀は、健康が文字通り人の財産となり、終わりなき健康を死ぬまで追求しつづけるよう駆り立てられる、際限のない時代になるのだろうか》(p.123)。
後の監視社会に関する考察で《監視の主体や目的そのものが一元化されない反面、ネットワークによって横断的に、予測できないしかたで結びつくために、いつ、どこで、何のために監視されているのか、あるいはそれがいいのか悪いのかといった価値判断が、容易にはできないのである》(p.255)、《自己責任や自己管理という形での個人の「活用」は、新しい統治のテクノロジーが持つ大きな特徴である》(p.256)という、少なくともぼく個人は深いリアリティを感じる言葉につながっていきます(そうか、自己責任うんぬんというのが、やたら最近いわれているのか、統治のテクノロジーなんか、みたいなのも含めて)。