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太郎物語 (大学編) (新潮文庫)

『すてきな母親』
 私は、この小説を母親信子の視点から読みました。ちょうど子どもたちがそれぞれ遠方の大学へと巣立ったところだからです。下宿の荷物に、半端物の食器や景品のグラスを加えようとするところ、スリッパを持たせようとして、いらないと言われるところなど、自分自身の経験とだぶり、笑えました。そうか、うちの子も、あこがれの一人暮らしにそれなりのビジョンを持っていたのに、家でいらなくなったものを押し付けられたりしたら、そりゃあ、いやだったでしょう。子どもからうっとうしがられるこういった現実的な部分と、よい意味で浮世離れした部分のバランスのよさにひかれます。たとえば、五月病で電話してきた太郎に「私は固定観念が嫌いなのよ。人間は皆まちがえるからね。やってみて間違いだと思ったら、あっさりカブトを脱いで、でなおしたらいいよ。」と言い放つ場面。かっこいいな。私もかくありたい。名古屋人としてローカルな地名が多いのも魅力です。

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