『熱き漢・立野正裕教授の講演録』
本書に含まれる、明治大学文学部教授である立野正裕氏の、『内面への旅―遍歴する精神―』は、非常に素晴らしい内容で、リルケやヴァレリーから日本国憲法にまで繋がる、氏の熱のこもった講演を、本として読み、感じることが出来ます。立野氏は、本来の専攻は英文学の方ですが、狭い専門分野に捉われず、幅広い知識を持つ方です。しかもそういった博学な知識にパッションが滅却されておらず、それどころか寧ろパッションが知性を押し上げ、包括しているような、非常に熱い方です。詩や小説の創作も為されているということですが、大学教授という職業の為か、あるいは己のポリシーとされておられるのか、大きな出版社には発表されていません。本書の熱き講演の記録を読んで、是非、氏の文学作品を読んでみたいというほどの気にさせられたので、その点は残念です。
その他の先生方ないし俳優・原田大二郎氏の講演録も、とても参考になったのですが、やはり重層的な情熱という点に関して、立野氏の講演録が最もハートに応えました。
私も、立野氏のように、六十歳、すなわち還暦を迎える年には、豊富な知性と溢れる情熱を共存させる、熱き漢になりたいです。